レトルト食品の袋を商用化したのは日本
食品、特に水分を多く含んだものは一日おいてしまうと腐るもの、というのが常識と言われていました。そこでそれを防がなければいけないもの(保存食など)には防腐剤を入れてしのいでいたというのが現実でした。それが何と常温で一年以上もたせることができる、という鳴り物入りで出回り始めた「レトルト食品」は当時衝撃的でした。原理をわかっていない当時の人の中には、どれだけの防腐剤が入れてあるのかと、メーカーに問い合わせされたという話も聞かれた程です。それくらい、モノを腐らないようにするには防腐剤を入れるしかない、というのが常識の時代でした。一口に物が腐るのを防止するといっても、方法には二つあると考えられています。一つが腐敗させる細菌が生き続けられない状況を作ること、いわゆる冷凍や乾燥といった方法です。もう一つが、その細菌自体をなくすこと、というもの。前者の冷凍あるいは乾燥させることは従来から行われていた方法で、それを実現するのが冷蔵庫であり、食品加工技術でした。細菌をなくしてしまうという方法も缶詰や瓶詰で実現されてはいましたが、フレキシブルという容器の制約が達成できませんでした。それがレトルト食品によって一気に身近なものとなっていき、今ではなくてはならない食品の一分野を形成するまでに発展していったのです。もともとレトルト食品は20世紀半ばアメリカで開発されたもので、アポロ11号での月面探索時牛肉などの5種類の食材を持って行ったことでよく知られるようになったものですが、この技術を商用化したのは日本人と言われています。お馴染みなのがこの包装を使ったカレールーでしたが、今では数百種類に及ぶレトルト食品があると言われています。カップ麺とともに日本が世界に誇れる食品包装技術と食品加工技術のタイアップと言えるのではないでしょうか。